第7章 もっと知りたい
〜上鳴side〜
休日だというのに、いつもより早く目覚めた
隣で咲良は、まだスヤスヤと寝息を立てている
毎朝目覚める度に、夢じゃないんだな…って思って嬉しくなる
朝日にキラキラと輝く長いまつ毛を眺めながら思う
咲良は、あの日婚約者に裏切られてなければ
オレと付き合ってくれていたかどうか
最近もっぱら悩んでしまう
そんな答えのない、問を何度も何度も
もしあの日、あの男が家で大人しく待っていたなら
咲良はあの男とレストランで食事をして
あのホテルで夜を過ごし、きっと今頃結婚式の準備に追われていただろう
そしてオレは何事もなくコンビニから帰って
またいつもの、日常に戻っていたのだろう
はっきり言って、隣で眠る彼女は高嶺の花
綺麗な顔、料理は上手いし、性格もいい、オレなんかが…まして12も年下の男が相手にしてもらえるはずもない
どんな偶然でも、神様のイタズラでも
オレの元に咲良をよこしてくれて感謝しかない
咲良は何を引け目に思っているのだろう
先に老いること?オレより先に色々経験してしまっていること?
それならオレにだって引け目はある
今すぐ結婚出来ないこと、何も知らないこと、まだ何も自分1人では決定できないこと、何もあげれてないこと
こないだ学校帰りにSTAR JEWELRYの前通りかかって
婚約指輪を覗いて見たら30万とかって
高校生が買える値段じゃねぇよな
夏休みバイトで埋めまくろうと思ったら、合宿あるみてぇだし
まだ、結婚出来なくても
この気持ちだけ先に伝えたかった
ずっと一緒に居たい
一緒に時を刻んでいきたい
12なんて年の差どうでも良くなるくらい年取るまで
あと2年と半年が長い
その間に、咲良が他に行ってしまうんじゃねぇかって
でも、とりあえず今日
親に挨拶きてくれるし、したらオレも咲良の親に挨拶行って
その時のことを思うと、さすがの俺でもネガティブになる
27歳の娘が15のガキとつきあってて、婚期が3年くらいおくれるってなったら
30歳まで否が応でも待たせることになったら
反対される可能性は高いだろう
大きくため息を吐く
事はそう簡単じゃない
それでも必ず納得させてみせる
『ん……』
そんなことを思っていると咲良の目がゆっくり開く