第5章 ホントのハナシ
失礼な言葉が漏れて聞こえる
『裕太…1つ教えてあげる』
咲良が氷のように冷たい声でいう
初めて聞く声にオレでさえ背中が冷たくなる…
『電気くんはガキじゃないし、私本気で好きだから
それにあんたよりデカイよ
今までの誰より気持ちいいの、じゃあね粗チンくん』
相手の男はブチ切れたのか、電話からは怒り狂った声が聞こえる
が、咲良は特に気にせずと言った様子で電話を切った
『……ごめん』
やっちゃった、と照れた顔で笑う咲良
「いや、すげえカッコよかった…」
本心だった、いっつも押しに弱そうで
基本ニコニコしている咲良
怒るとこうなんだな…
それより、褒められたことが嬉しかった
「あの、デカイってのは…オレ的にはスゲェうれしかったっす」
『うるさい…////』
でも相手の男からしたら、ショックで仕方がない言葉だっただろう
元彼女に粗チンとまで罵られたのだ
今後立たなくなるくらいのショック、少し同情するレベル…しねぇけど(笑)
少し気が晴れたのか、スッキリした顔になった咲良
『よし、肉食べに行こう!』
俺の手を引いて早足に歩き出す
「いいね、肉!」
俺を好きになってくれたことも、元気になってくれたことも
嬉しい
オレが18になるまで待ってほしい
あと2年ちょっと
「な、やっぱそのうちでいいから
オレの親会いに来てよ
それか、オレが咲良の親に会いに行く」
『うん…
わかった、電気くんの親御さんに会いに行くよ
反対されるかもしれないけど…』
咲良は笑って返事をしてくれる、ホントのところ悩んでんだろうな
「な、花出してくんね?」
『え?花?』
「うん、気持ち知りたい」
『なら手、離して
手握ってたら電気くんのキモチの花が出ちゃう』
手を離すと、咲良の手に白い小さな花が出る
『ジャスミンか…
なんか、これは予想通りだなー』
「どういう意味?」
『私はあなたに付いていく』
まっすぐ見つめられてハッキリと言われる
ジャスミンの花の香りが、風に乗って強く香った