第5章 ホントのハナシ
体を離して、触れるだけのキスをする
「いつか、ガチのプロポーズすっから
信じて待ってて」
咲良は目をぱちくりさせて俺を見ている
まぁ、こんな事言われても、
婚約破棄したばっかで信じられねぇよな…
『しんじていいの…?』
泣きそうな声でそう言われる
「いい、つか、俺を信じれ」
もう1度ぎゅっと抱きしめる
不安だったんだな
もっと早くに気付いてやれてたらよかった
抱きしめていると、咲良のポケットがスマホのバイブで震える
勝手に抜き取り見ると齋藤裕太と書いてある
「もしもし」
勝手に出るが、咲良も何も言わずにオレの腕の中におさまっている
齋藤[は?お前誰だ?
咲良に電話かけたんだけど]
「昨日のおっさんか、しつけーな」
齋藤[お、お前!昨日のガキか!
咲良の親戚かなんだか知らねぇけど
あんまり舐めた真似するといい加減怒るぞ]
「お前がキレたところで俺には勝てねぇけどさ
一つ修正、オレは咲良の親戚のガキじゃねぇ
オレは咲良の彼氏」
齋藤[はぁ?!お前いくつだよ
つか、咲良二股かけてたのかよ、オイ、変われよ!]
「何でてめぇに言わなきゃいけねぇんだよ
あと、咲良の名誉のために言っとくけど
二股かけてたのはテメェだけだ、オッサン
オレと咲良はその後出会った
ま、運命ってやつ
間違った相手との婚約は破棄されて、オレと新しい幸せな人生歩むってわけ」
齋藤[信じれるかよ、咲良はお前に脅されてんだろ
いいから電話変われ!]
「しつけぇなぁ…」
もう一言申してやろうと思った時、咲良が電話を奪う
『もしもし』
齋藤[あ、咲良!
大丈夫か?変な男に付きまとわれてんだろ?迎えにいくから…]
『悪いけど、全部ほんと
私、電気くんの事がすごく好きだから
アンタとは完全に終わり』
齋藤[はぁ?あんなガキ、おい、正気かよ!
あんな毛も生え揃ってなさそうなガキ相手にしてもろくな事ねぇって]