第5章 ホントのハナシ
〜上鳴side〜
スタバを出て手を繋いで歩く
オレのつまんねぇ話でもいつも笑って聞いてくれる咲良
「な、俺の親にも会いに来てくんね?」
『うーん…』
咲良は煮え切らない返事をする
「いや?」
『嫌ではないっていうか、ホントはしないといけないんだけど…』
咲良はまた寂しそうな顔をする
時々ふとそういう顔になるのが痛ましくて
『私みたいな年上が来たら
親御さんも嫌だろうし
いつまで私と付き合うか分かんないでしょ?
あんまり踏み込めないというか…』
そう言われて足が止まる
どういう意味、それ
「それどういう意味?」
そのまんま言ってしまう
『どういうって…』
「いつまで付き合うか分かんねぇって、どういう意味
咲良はオレと別れるつもりで付き合ってんの?」
『え…?』
「オレは咲良と一生一緒にいたいって思って付き合ってる
咲良はちげぇの?
オレがガキだから弄んでる?」
『ち、違うよ…
その逆で…』
そこまで言って咲良が口を閉じる
俯いてしまって表情が見えない
「逆…?」
咲良の手を強く握る
返事が怖い
すると咲良は手からポンッと花を出す
今度は黄色いチューリップ
『私の個性は、私の本心を花言葉に変えて出してくれるの』
「花言葉…」
『花にはそれぞれ意味があるの
黄色いチューリップの花言葉は……』
ゴクリと喉がなる、それが咲良の本心だと言うなら
疑いようがない
悪い意味じゃなければいいと願う
「花言葉教えてくれよ…」
言いかけて辞めてしまった咲良を見つめる
どんな意味でも受け止めるから、教えて欲しかった
『望みのない恋』
消えそうな声で咲良が呟く
『私、電気くんのこと本当に好きになってしまったみたい…
これは私の本心
こんな年の差で望みがないって自覚してるのに、電気くんに恋してしまってる』
両手でそっとチューリップを握る咲良
なんだよそれ、勝手に望みないとか決めつけて
「バカだな」
『えっ…』
引き寄せて抱きしめる、強く
壊さないように
「望みないとかありえねぇって、むしろ望みしかない
年齢とか関係なく、オレは本気で咲良のことが好きだから」