第4章 年下男子の憂鬱
朝、近くの喫茶店でモーニングを食べて
目的地の不動産屋へ
「これはこれは、かわいいご夫婦だ」
お茶を出しながらニコニコとオーナーのおじいさんが言う
嬉しくなった俺が「そうなんすよー奥さん可愛くて」なんて言うと
『もう!そうゆう悪ノリは辞めてよ!』って怒られた
おじいさんは終始ニコニコしながら話す
「して、ご希望の場所はありますかな?」
「雄英高校の近くがいいっす
できたら徒歩圏内」
『え?ちょっと勝手に…』
「いいだろ?すぐ会いに行きてぇもん」
「雄英高校ね、あの近辺は割といい物件そろってますよ」
オーナーがペラペラと分厚いファイルを捲って
「こことか、こことか」
何枚か物件情報の紙を差し出してきた。
それを真剣な目で見る咲良、
俺もわかんねぇけど顔だけ真面目にしておいた。
『オール電化がいいんですけど…』
「なら、こことかどうかね?」
『ここ、いいですね
2DK、南向きクローゼットも大きいし…キッチンL字かぁ!素敵』
「ここなら今から見学行けますよ」
『行きます!』
俺を置いてサクサク進んでいく会話に
大人と子供の差を感じてしまって、胸の奥がチクンときた。
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内見一軒め、雄英高校から徒歩5分
わりと新しそうなマンションだ
「築2年ですからね、綺麗ですよ」
『ほんとだ…日当たりもいいし
すごくいいかも!』
今日一番のキラキラした目で部屋を見渡す咲良
確かに風呂も広いし、キッチンも綺麗で居心地がいい
『ここにします!』
「早!」
まだ一件目だぞ?と突っ込むと
『だって気に入ったもん、ここにする』
とベランダから外を眺める咲良
その景色の先には雄英も見えた。
隣に立つと程よい風が前髪を撫でた。
「まぁ…俺もここイイと思う」
『でしょ?』
「ではこちらでよろしいですか?」
『はい、お願いします!
なるべく早く入居したいんですけど…』
「明日検査と再クリーニングして明後日には引渡しできますよ」
咲良は色々な書類にサインと捺印をして
これで家は決まったって言うんだから驚きだ。