第22章 アンケート1位記念。
そこまでの説明を受けて、どうして私は怒られているんだ?
咲良は首を傾げたが、それより目眩が酷い。
『いや…だから、家に帰ったら私の後輩とヤってたの…
破棄するにきまってるじゃない…』
「馬鹿!あんた自分がいくつだと思ってんのよ、27よ?27。
こんな年まで売れ残って……
たかだか一回浮気されたくらいで、破棄なんて。自分の立場わかってるの?!
はぁ…もう情けないったらないわ……」
母親の言葉を聞きながら、咲良はキッチン台に背を預けてへたり込んだ。
一回浮気されたくらいで?
結婚前にだよ?そんなのこれからもされるに決まってるじゃん。
しかもどこかの他人じゃない。
私の直属の後輩だ。
大方、あの後輩とも上手くいかず、こちらに泣き付いてきた、くらいのものだろう。
別れてて実に2ヶ月がたっていて、今更実家に行く意味がわからない。
「とにかく、お母さんが謝っといてあげたから!!!さっさと仲直りして結婚してもらいなさい」
『は?!やだよ!!!なんで謝ってんの!?悪いのはあっちじゃん!!!』
思わず感傷的になって叫んでしまった。
その声に驚いた上鳴は、咲良を心配してすぐ側に寄ると、
キッチンの隅っこで小さく震えている咲良を見つけ、抱きしめた。
「裕太くん言ってたけど、あんたも浮気してたんでしょ?
しかもかなり年下。」
(死ね!)
心の中で元婚約者にそんな悪態を付いてしまう。
よりにも寄って、電気くんのことまで暴露されてはたまらない。
それに、浮気はしてないと言ったのに、あの男はどこまでカスなんだろう…。