第22章 アンケート1位記念。
だがこのままにしておくわけにも行かず、咲良はベッドを抜け出してキッチンでお湯を沸かしながらスマホをタップする。
ワンコールで取られる受話器。
お母さんらしい
ずっと着信を待っていたのだろう。
『もしもし…お母さ…』
「あんた!婚約破棄ってどういうことよ!!!!!!」
ヒュ…っと喉が音を立てた。
肺を掴まれるような息苦しさ。
『え…なん…』
なんでそれを知ってるの?
そう聞きたいはずなのに声が出ない。
その狼狽える様子が返事と受け取ったのだろう、母親は受話器越しに、これみよがしなため息を吐いた
「何考えてんのよ…。
昨日、裕太くんがうちに来たのよ。
あんたを説得してほしいって」
『は????』
思わず漏れた声、
裕太が?なんで?いや、まず、どの面下げて?
『破棄の理由なんて言ってた………』
「え?
あぁ…べつに。会社の女の子と、酔った勢いでやってしまったんでしょ?
そしたらあんたが一方的に破棄したって言ってたわよ。
引っ越して家もわからない、電話もメールも繋がらなくて困ってるって」