第22章 アンケート1位記念。
穏やかだと思われていた日々は突然に終わりを告げた。
始まりは一通のメール。
咲良の母親から送られてきた、絵文字も何もない一行。
【話があります。電話しなさい。】
送られてきた時間は早朝3時だった。
確認したのは、土曜ということもあって、昼前の10時。
着信履歴には20件もの不在着信。
「なに…?どした?」
息を飲む咲良を気遣うように、上鳴は後から彼女を抱き寄せスマホをのぞき込んだ。
起きがけのかすれた声に鼓膜が震える。
『大丈夫、お母さんからだから。
電話しろってさ』
「うぇ?!お母さんから鬼電?なんか事故とか?」
『ううん、うちの親いつもこうだからさ、
ヒステリーぎみ?みたいな…』
だから、長らく避けていたのだ。
婚約破棄がバレたらめんどくさい。
ほとぼりが冷めるまで、お母さんとは話したくない。