第18章 上鳴電気の願望
翌日、授業を終えた上鳴は
咲良との待ち合わせ場所に小走りで向かった
学校近くのショッピングモールは近辺の学生たちで溢れている
こんなに人が溢れていると言うのに
上鳴から見れば、遠目にも咲良だけが輝いて見えた
今すぐに抱きつきたい思いと
こうして自分を待っている咲良を
まだ見つめていたい気持ちが脳の中で戦っている
咲良まであと100メートル程のところで、
二人の男子学生が咲良に声をかけるのが見えた
咲良は両手を振って
何やら困っている様子で
だが、男達は強引に、咲良の肩に触れると
笑いながら話しかけている
咲良の怯えた横顔を見た瞬間
上鳴は弾かれたように走り出し
咲良の肩に置かれた手を掴んだ
「…悪りぃけど
この子、俺のなんで
触んねーで貰えます?」
「あ゛?…
ってその制服…」
「こいつ、雄英体育祭出てたやつじゃね?!」
突然現れた上鳴に、咲良に絡んでいた男達は少しテンションの上がった声で騒ぐ
「そうだ、ヒーロー科の!」
「すげぇ!お前、強かったよな!ビリビリって」
「あ、おお、ありがとう…」
何故か男二人は上鳴に握手を求めて
「がんばれよ!ヒーロー!」と手を振って去っていった
なんだか、少し拍子抜けした上鳴を
咲良は驚いた様子で見つめている
『電気くんって…ヒーロー科なの?!雄英の?!』
「え?あぁ…言ってなかったっけ?」
『聞いてないよ!』
両手をブンブン振って咲良が言う
少し興奮しているようだ
『すごいね、ヒーローになるんだね』
「そ、で、咲良はヒーローの奥さん♡」
そう言って、制服の袖の部分から少し出ている指先を握ると
咲良は嬉しそうに上鳴の手を握り返す
「行こっか」
『うん!』
咲良が個性事故にかかって、3日目
付き合い始めて初めて街中で手を繋いで歩く
歩くたびサラサラと風になびく髪は
まだ染める前の黒髪で
27の咲良よりも10センチ以上髪が長い
身長もふた回り小さく、
まだ女性らしい、と言うよりは成長中の華奢な体つき
膝少し上のスカートから伸びる白く細い足に
紺色のハイソックス