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【跡部】All′s fair in Love&War

第15章 夏の魔物に連れ去られ(中編)




次に目を覚ました時には、見知らぬ天井が目の前にあった。驚いて身体を起こそうとするも、手足が重たくて思い通りに動かせない。唯一動く目線をさ迷わせてみると、心配そうな茉奈莉ちゃんと目が合った。


「千花ちゃんっ…!!よかったぁっ」
「茉奈莉ちゃん、あたし、えーと…?」


涙声の茉奈莉ちゃんから、あたしが熱中症らしき症状で倒れた事、すぐに処置をしたから問題無い、と跡部お抱えのお医者さんに言われた事を聞かされる。そこには跡部があたしを抱きかかえてここまで連れてきた、という情報も含まれていて――茉奈莉ちゃん心配かけてごめんね、とか、宍戸はその後どうしてるの、とか、考えていた事を全て吹っ飛ばす威力のある内容だった。



あわあわするあたしを苦笑しながら眺めている茉奈莉ちゃん。重たくなかったかな、などと考えているとトントン、と控えめなノックの音が響き、茉奈莉ちゃんが立ち上がった。


「守河…松元はどうだ?入っても大丈夫か?」


宍戸だ――どうする?と言いたげにこちらを見る茉奈莉ちゃんに頷き返す。茉奈莉ちゃんは部屋を出ていき、入れ替わりに宍戸がバツの悪そうな顔をしながら入ってきた。


「よう…もう平気なのか」
「うん、だいじょうぶ、だよ」


ぎこちなかったかも知れないが何とか笑ってみせると、宍戸も力なく笑った。


「さっきは、すまなかった…考え無しな言動だったな」
「…ううん、しんけんなんだよ、ね。ししど」
「お前だって、マジでマネージャーやってくれてんのに。それを貶めるような事言っちまったな」
「きにしてない、よ」


宍戸の、そんな風に素直に自分の非を認められる所、見習うね――そう言うと、宍戸は照れたようにそっぽを向いた。



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