【跡部】All′s fair in Love&War
第13章 幕間に交わす秘密のお話
「初めまして、守河 茉奈莉です」
初めて公立の小学校に行った時、私は柄にもなく緊張していた。今まで通っていた学校よりも古くて、小さくて、煩い。しかし、自己紹介に立った教壇からクラスメイトをぐるり、と見回した時。
「え!?茉奈莉ちゃん!!?」
凄く驚いた表情を浮かべる彼女を見つけ、私は初めて心の底から笑った気がする――やっと見つけた獲物を前にほくそ笑む捕食者のようだ、と自嘲しながら。
それても、休み時間に驚いて駆け寄ってくる彼女から松元 千花だよ、と名前を教えてもらい、千花ちゃん、と名前を呼んだ時、何かピースがかちり、とハマるような感覚を覚えたのだ。千花ちゃんに橋渡しをしてもらってクラスメイト達とも打ち解け――それでもやはり、彼女以外に大した興味は持てなかったが――勉強や運動は元来出来るほうだったから、周囲からの信頼を獲得することに成功した。
千花ちゃんをもうあの時のように独りで泣かせてはならない、そばに居て守らなければ、そう思うようになったのは、それから間もないことだった――