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【跡部】All′s fair in Love&War

第13章 幕間に交わす秘密のお話





「ねぇねぇ、あなたはこの辺りの子なの?」
「えぇ、そうよ」
「そうなんだ!あまり見かけない顔だなぁ、と思って」
「私は電車で、私立の小学校に通っているの」


彼女はすっかり機嫌を直したようで、色々と質問攻めに合った…が、不思議と嫌な気分にはならなかった。いつものクラスメイトが聞いてくるような、休みに何処に連れていってもらったか、何を買ってもらったか、なんて話とは違い。彼女は純粋に私自身を知ろうとしてくれている、そんな気がしたからだろうか。



「へぇ、毎日大変そうだね…あたしはね、家からすぐ近くの〇〇小学校に通ってるんだ!三年生だよっ」
「あら、じゃあ同い年ね。さっき泣いてたあなたは、もっと小さい子みたいだったわ」
「えぇっ!もー、イジワル」


そう言ってけらけら、と笑う彼女。そして私自身も笑っていることに気付く。こんな会話、クラスメイト達とした事があっただろうか――


「あっ、もうお空が真っ赤だねぇ!きれー」


彼女が突然立ち止まり、空を見上げる。その顔が夕日の赤に染まり、何故か私は悲しくなる。そして夕日の方向に、もう目指す交番は見えていた。


「…あれ?ここまで来たらおうち、分かった気がする」
「ふふっ、何よそれ…!あなたって本当に、自由ね」
「ほんとにありがと!えーと…茉奈莉ちゃんのおかげだよっ!あたしのおうちもこの近くだから、また会ったら遊ぼうね!」



そう言って駆け出す彼女。私は何処か羨望の眼差しを持って、後ろ姿を見つめ続ける。そして、名前を呼ばれた事にふと気づき、何故知っているのかを道中考えながら帰る。


そして、途中にあったカーブミラーに写った自分が、名札をつけたままだったことに気付いた。夕日が綺麗な事も、私の名前も、色んな事を彼女は見つけることが出来るんだ、子供のように幼い癖して――そう思い当たった時には、もう彼女に捕らわれてしまっていたのだろう。



「茉奈莉ちゃん!こんな遅くまで、どうしたの!?」
「ただいま、おばあちゃま…あの、私、」


――〇〇小学校に行きたい…!と、泣き出した私に祖母は物凄く驚き。すぐに祖父と両親に掛け合い、転校の手続きを取ってくれた。――茉奈莉が自分のしたい事を言ったのは初めてじゃないか?と、両親も驚き、喜んでいたように思う。


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