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【跡部】All′s fair in Love&War

第13章 幕間に交わす秘密のお話





「…へぇ、じゃあそれが松元だったんだ」
「そーなの、昔から千花ちゃんってばいい子でしょ?」


守河はまたにこり、と笑う。昔はこんなに笑わなかったのかな?そう思ったら、松元にも感謝したいくらいだ。


「そこから小学校で一緒に過ごして仲良くなって。中学は私立に戻りなさい、って言われたけど、千花ちゃんも着いてきてくれたんだぁ…ふふ、思い返すと懐かしくなっちゃう」


俺の知っている守河は面倒見が良くて、穏やかで、いつでも笑みを絶やさないけど、たまにはっとするほど冷静で。いつも一歩引いた所で周りを見ているのに、松元の事となるとムキになったりもする。そんな守河になったのは松元のお陰なのか、と思うと、嫉妬する気にもならない程、2人の蜜月ぶりが当然に思えてくる。


「守河は…松元を誘ってテニス部に入った事、後悔してないの」


突然のその質問に、面食らったのかこちらをきょとんとした顔で見てくる守河。


「やだジロちゃん、後悔なんてして無いわ…だって、ねぇ?ジロちゃんは私を誘った事、後悔して無いんでしょ」


そして、悪戯そうな笑顔に変わり。座っていたベンチを立ち、家に向かって歩き出す。
質問の意図――つまり、松元と跡部を近付けた事への後悔を問うたのだけど。思いもよらない形で、しっぺ返しを食らった。


「勿論、してないしー」


そう、俺は守河と出会えた事、こうして共に歩ける仲を、そしてこれ以上進みたがる自分を、後悔したくない。


「ふふ、ジロちゃん照れてるの?かわいー」
「ちょっ…照れてなんか無いってば!」


弱った時にこうして頼ってもらえるのが俺なんだ、と気付けたから、きっと良いバレンタインなのだろう――例えチョコが貰えなくても、松元のためについでにクレープ屋に呼ばれたんだとしても!


実は根に持っていた俺も、そう自分に言い聞かせ。先に歩き出した守河を追って歩き出す。この後すっかり機嫌を直した守河から、実は用意していたチョコを貰えるとは、夢にも思わずに。



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