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【跡部】All′s fair in Love&War

第12章 秘密は砂糖より甘い(後編)





「…でも、珍しいわよね跡部?そんな、誰から貰ったか分からない物食べるつもり?」


茉奈莉ちゃんがちらり、とコチラを見たあと跡部に問いかける。――茉奈莉ちゃんは気付いているんだ…!

顔にどっ、と血液が集まったのが分かる。恐らく真っ赤になった顔が皆に見えないよう、俯いた。


「アーン?守河、これはいいんだよ…誰からのチョコか、大体検討が付いてるからな」
「ふーん、どうしてなの」
「俺様がこのチョコを好んでいると知っているのは、家族と使用人、あとはジローみたいな昔馴染みと…他には、一人しか思い当たらねぇからな」


ひぇっ、と声にならない声が出る。心臓のばくばくが止まらない――そして、ついさっきまで機嫌を悪くしていたはずなのに、跡部がクツクツと震えながら笑っているのに気付く。


「へー、なぁ跡部、開けてみろよー」
「…ジロー、やらねぇっつってんだろうが」
「いーじゃん、見るだけだしー」


勿体ぶりながら跡部が包みを開ける。茉奈莉ちゃんに渡したものとはまた形の違う、ビターチョコレートが綺麗に整列する中――


「へ!?いや、え!?どうして!!?」
「…おい松元、さっきから何を騒いでやがんた…アーン?」


そこだけは、茉奈莉ちゃんに渡したものと同じ。一つだけ、赤いハート形のチョコが混じっている。バレンタインラッピングはしないで、と――気恥ずかしくて渡せないから、と言ったのに!…いや、中身だけだから彼女は悪くない、のだけど…!


「マジマジすっげー、うまそー!かわいー!!」
「…ジロー、やらねぇからな」
「もー、わかってるしー!」
「ほらぁ、ジロちゃん。私たちはクレープを買いに行きましょ、ね!」


そういって立ち上がる茉奈莉ちゃんとジロちゃん。いたたまれなくてあたしも立ち上がろうとしたが、茉奈莉ちゃんに座ってて、と制され、また俯き座る。


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