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【跡部】All′s fair in Love&War

第11章 秘密は砂糖より甘い(前編)




渡す所を想像なんてしようものなら、のたうち回ってしまいそうになるが。なんとかそれを持って、部活の朝練に間に合うように家を出た。

泣いても笑ってももうすぐ学校についてしまう、着いたら真っ直ぐ部室に行かねばならない。行ったら跡部も居るだろう…


ぐるぐると思考が回り出す。いらねーよ、なんて突き返されたら?この想像だって、昨晩何度したか分からない。だからとっとと、朝一で渡してしまって。いらないって言われたらがっくんやジロちゃん辺りの、甘いもの好きのメンバーに分けて食べて貰えばいい。


誰もいない内に、と早めに家を出たものの、足取りは重く結局いつもとそう変わらない時間。またため息をつきながらテニスコートの方を見やると、思いもしなかった光景が飛び込んできた。


「…なに、あれ」
「あっ、千花ちゃん!おはよー!大体予想はついてたけど実際鬱陶しいわよねー」


茉奈莉ちゃんが毒を吐きたくなる気持ちもわかる。テニスコートの周りを何重にも、女子生徒が取り囲んでいる。そしてテニスコートに入ろうとした所を捕まったのか、入口の前で囲まれ足止めを食らっている正レギュラーの先輩。そのせいで跡部もコートに入れず、そのまま囲まれて身動きが取れなくなっているのが見えた。どんどんチョコの包みを差し出され、面倒そうに脚の横に積んでいる。


「この調子じゃ朝練出来ないでしょうねー。部室で予鈴まで待ってましょ」
「そ、そーしよ!」


部室で待っていれば、跡部も来るだろう。そんな目論見とは裏腹に、予鈴の直前まで待ったが誰一人部室には戻らなかった。


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