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【跡部】All′s fair in Love&War

第7章 carnival day!(中編)




「…わ、」


思わず声が零れた。あたしのリクエスト通り、黒ベースに白のフリル。ひらっとスカートが拡がるように、中に付けるパニエもふわふわ。ヘッドドレスには細かいフリルと黒のリボンがたなびく本格的な物。ご丁寧に茶色の編み上げブーツまでついている。


「可愛い…」



茉奈莉ちゃんの着ていた水色ベースの物もアリスみたいで可愛かった、けどやはり黒ベースが可愛い!
流石、茉奈莉ちゃんとは長い付き合いで知り尽くされているのかな?全てのサイズがとにかくしっくり来る。


「と、急いで戻らないと」


姿見でエプロンの後ろをリボン結びにして、ついでにくるっと回ってみると。膝丈のスカートがひらりと舞い上がって、あんまりはしゃいだりしたらダメな仕様だと再確認する。

急いで、しかし動作は小さめに。部室の鍵を締め、また裏庭を突っ切って、視聴覚室のある校舎まではもうすぐ!






「…っかしいなぁ」


あれから数十分経ったか?裏を気にしていたが、松元は未だ帰ってこない。サボったりするような性格じゃないし…と考えを巡らせていた所、もう一人、おかしな動きをする者にはたと気付く。


「…おーとり?なんで裏に」


腕まくりをして、裏方仕事をする鳳。しかも所在なさげな表情で、たまにチラチラと辺りを見渡している。…何かおかしい。跡部は相変わらず女の子に囲まれて閉口しているし、守河は上手いこと…いや、辛辣に、男子生徒をあしらっている。二人共異変には気付いていないようだった。


「ねーみんなー」


パチパチと手を叩き注意を引くと、皆が一斉にこちらを向いた。皆が好きそうな笑顔を浮かべて、口を開く。


「今から、おっしーと岳人が漫才するよ」


すると、わぁっと皆が二人の周りに集まってきた。狼狽する二人に親指を立てる。――と、いう訳だから!


「は!?俺らかいな!!?」
「な、何言ってんだよ!クソくそジロー!!」


哀れ二人は女子生徒たちの壁に囲まれ、あっという間に見えなくなった。

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