【跡部】All′s fair in Love&War
第6章 carnival day!(前編)
「千花ちゃん、でもね?メイド服なんか着た可愛い千花ちゃんが変な客に絡まれたりしたら私もやだなぁ」
「茉奈莉ちゃん…」
「それに、ね?誰かが裏方をやらないと回らないし、千花ちゃんに厨房なんかを任せれたら私も安心よ」
茉奈莉ちゃんに優しく諭され、すごすごと引き下がる。何も絶対着たかった訳じゃないし。何度も言うけど自分に似合わない事くらい、承知している。
―ただ、
「あ、でも!千花ちゃんのメイド服も用意させるからね、私だけに見せてね」
「わかった!茉奈莉ちゃん、一緒に写真撮ろうねっ」
「何だ松元、結局お前も着たかったのか」
「…なによ、」
揶揄するような跡部の言い方。棘のある物言いにイライラが募っていく。極めつけはバカにしているのがありありと見て取れる目の色!昔は同じ位だったのに随分高くなった目線がこちらを向いている、それをキッと睨みあげる。
「アホべのアホ!アンタの前では絶対着ないっ!!」
「アーン?別に見たくもねぇな」
そして私はいつも通り啖呵を切って、裏方に徹する事になり。微妙にイライラを残して跡部とはギクシャクしたまま、当日に至ったのだった。
――ただ、いつもと違う格好なら、少しは気にしてくれるかと思っただけなのに。