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【跡部】All′s fair in Love&War

第6章 carnival day!(前編)






「あーあ、もっと松元にもわかりやすく言ってやったら良かったじゃん」
「…何の話だ、ジロー」
「変な男に絡まれるのが心配だー、とか」
「そーそー、俺にだけメイド服見せろや!とかなぁ?」



そして開店した我がテニス部によるメイド・執事喫茶は想像以上の盛況ぶりだった。激務の間にからかってやると、跡部に思い切りにらまれ、俺と忍足はすぐ持ち場に戻り。そして跡部の接客態度は今までにも増して悪くなる。

――まぁ、それがいいのよねー!と女の子たちがキャーキャー言ってるから問題無さそうだけど。


守河がにっこり笑いながらその流れを見ていたから、俺は真面目に接客することにして。裏で忙しくしているであろう、松元はどうせ跡部の本意なんか気付きもしないんだろうなぁ。こうも忙しいと余計イライラするだろうし、さてどうして改善を図ろうか?


「飲み物は何にしますかぁ、お嬢様ー」


接客をしながらでは考えがまとまらない。貼り付けた笑顔で台本通りの台詞、もう何度目だろうか?俺にしてはよくやっている方だ、裏でサボったりしてないし。しかしこれでは、無為に時間が過ぎていく――


「アイスコーヒー2つ、お待たせしましたぁ☆」
「君、二年の守河さんだよね??うわー!接客してもらえるなんて!!」
「…ご注文は以上でお揃いですかー」
「あ、ジロちゃん」


――ありがとー、後は宜しくね!と去っていく守河に思い切り肩を落とす下心丸出しの男子生徒。マジいい気味。そのまま帰っていいよ。


「だめだぁ、忙しすぎー…ねむいしー」


――ごめん跡部、自分の事で俺も手一杯みたい。そう思いながら跡部の方を見る。女の子に囲まれ身動きがとれずイライラが最高潮のようで、笑顔に青筋が一本走っている。

ところで松元は、と裏に目をやるも。


「…あれ?」


居るはずの松元が、そこにいない事に漸く俺は気付いたのだった。


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