【跡部】All′s fair in Love&War
第6章 carnival day!(前編)
「という訳で、我がテニス部の出し物は執事&メイド喫茶だ…異論はねぇな?アーン?」
もう三年生の先輩も引退して、私達二年が部を仕切るようになった。そしてすぐやってくるイベント、文化祭。クラスごと・部活動ごとに出し物をする必要があるが、もちろん部員全員がテニス部の出し物に注力する。――氷帝テニス部としては、例え文化祭の出し物であっても客数ランキングが付けられる以上一位が絶対、との監督のお達しがあるからだ。
「この俺様が客に傅くなんざ、似合わねぇが…守河が生徒会に勝手に申請を通しやがったからな、異論があっても今更だ」
「あら跡部、一位を取るためにその無駄に良い顔を活かせる出し物を考えたまでよ?」
「フン、守河、てめぇもな」
「お褒めに預かり光栄だわ」
綺麗だが何処か怖い笑顔を浮かべる茉奈莉ちゃんと跡部の間にバチバチと火花が飛んでいる…それを他所に、皆が一気に色めきたっている。
「えぇやん、執事!皆似合いそうやし、お客さんバンバン入ってくるでぇ」
「し、執事かよ?俺、そんな行儀良く出来んのかな」
「岳人はそのままで大丈夫やて」
「俺も心配だぜ…客にニコニコしたりとかよ、柄じゃねぇしな」
「宍戸さんも、そのままで大丈夫だと思いますっ!」
皆がめいめいに盛り上がる中、私は、と言えばメイド服に思いを馳せていた。
「ねぇねぇ、茉奈莉ちゃんは何色のメイド服にするの?あたしはやっぱ、王道の黒がいいなぁっ」
似合うとも思えないし、普段なら絶対着ないけど。お祭りの雰囲気の中なら着れるはずの、フリフリ可愛いメイド服!私だって女の子だ、可愛い格好に興味がない訳じゃない。少しの恥ずかしさとそれを上回る楽しみで、私も浮き足立っていた、が。
「アーン?松元、お前も着る気かよ」
「…え、だってメイド服…」
「ハッ、メイドは守河一人で十分。テメェは裏方仕事だ、ジャージでも着てな」
「は!?なんでよっ」
突然の跡部の言葉に愕然とする。いや、似合わないのは自分でも分かってるけど!別に着たいわけじゃないけど!
――でも!