【跡部】All′s fair in Love&War
第6章 carnival day!(前編)
「それでは――今この時をもって、氷帝祭の開幕だ」
厳かにも聞こえる声で壇上の跡部が生徒達にそう告げると、きゃー、と悲鳴にも似た歓声が上がる。今日は我が校の文化祭。年に1度の馬鹿騒ぎに皆が大盛り上がりする中――私といえば、憂鬱の真っ只中にいた。
「テメェら、羽目は外しちまってもいいが校則の範囲内だ…せいぜい宴を楽しみやがれ」
きゃー、とまた響く絶叫。女の先生まで叫んでいる気がするのは気のせいか。満足気に生徒会長としての挨拶を終えて壇上を下りる跡部を苦々しく見つめていると、目が合った気がした…から、思いっきり逸らしてやる。いつもの喧嘩とは違う、今、私と跡部は冷戦中なのだ。事の発端は、文化祭の準備中に遡る――