【跡部】All′s fair in Love&War
第27章 Drive me blue
「ひよしー、おーい」
「芥川さん…!」
ぎょっと、大荷物を三人分抱えた俺を見る日吉。手伝いましょうか、と言われるも断り、荷物を抱え直す。
「…なんだか、大変な事になってたりしますか?」
「あ、やっぱおめーのせいなんかよー。大変は大変だけど、仕方ないっしょ。日吉だって、気持ちの整理位付けたかっただろうし」
俺の言葉に驚いた様子の日吉。いつもあんなに分かりやすい態度取っておいて、今もそんなに傷ついた表情してて、何を隠したつもりになってるのさ。
「あ、どーなったかは俺も聞いてねーからな!多分そうなってあーなったから、こうなったんだろーな、って想像」
「…いや、ほぼ当たってると思いますよ」
苦笑する日吉はやっぱりいつもより弱々しくて。よくやったな、なんて言える雰囲気でもなくて、ぽん、と肩を叩く。
「傷つきついでにさ、跡部の事、頼んだぞ」
「…追い討ちじゃないですか」
「松元の為だと思ってさぁ」
――それ言われると、弱いんですよね。そう呟くと、日吉はまた小さく笑ったから、安心して俺はコートに向かうことにする。日吉は、あれで実は面倒見が良いし、松元の事をアイツなりに大事にしていた事を知っている。
全く、手がかかってしょうがない――二人の元へと、歩みを進める。自分の恋の決着も、近づいている事を願いながら。