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【跡部】All′s fair in Love&War

第25章 アンコンディショナル・ラブ(中編)




それから何時間か経ち、有名店のスイーツやオードブルが所狭しと並んでいた机上も、段々閑散として来た。流石体育会系の集まりと言うべきか、あんなにあった食べ物も残り僅かだ。

「松元ーーー!!!」
「ちゃんと食べてるんかぁー??」
「うぉ、ちょ…!何、がっくん!忍足まで!!」


少しゴミを片付けようかな、と立ち上がると、背中にどんっと衝撃を感じよろめく。顔を仄かに赤らめた二人がケラケラと笑っている。

何、もしかして酔ってるの…!?二人が手に持ったボトルを念の為確認してみるも、安心安全のシャンメリーだ。でも、雰囲気に酔うのも分からなくは無かった。暖房の効いた部屋は暑いくらいだ。そろそろ一旦換気した方が、と思うけれど、外の寒さを想像するに、なかなかそれも出来ずにいた。



「これはもう、パーっと二次会に行くしかねぇなっ」
「お、えぇやん宍戸!パーっとカラオケでも行こかっ」
「お前ら…浮かれ過ぎだろ、アーン?」


突然肩をくみ出す宍戸と忍足に、跡部も呆れたような表情を浮かべている。


「こんな日くらい浮かれたっていいだろー、くそくそあとべっ!なぁ、松元も行くだろっ」
「あー、でもあたし…明日の準備があってね、あんまり遅くなるのはダメかも」


何の気もなしに、言った私の一言に、皆がさっと凍り付く。――そっか、そーだったな、とがっくんが小さく返す、そんな様子に胸が詰まる。



「ちょっと、あたしっ…外に出て頭冷やしてくるねっ」


もう誰の顔も見れなくて、勢い良く外に飛び出す。あんなに寒いと思っていたのに、火照った体には丁度いい気温の中を駆ける。

ぎゅ、と、奥歯を噛み締める。零れかけた涙をせき止める。走って走って、気づけばもう端っこ――一番奥の、正レギュラー用のコートまで来ていた。

入部したあの日、打ち合いをする跡部の様子を座って眺めた、冷えたベンチに腰掛ける。マネージャーになってからというもの、此処は、あたしの定位置だった。皆の汗を、涙を、笑顔を、そして跡部を、いつもここから眺めていた。

時刻はもうすぐ五時。日もすっかり傾いて、キツい西陽が顔を刺す。ここから見える夕日はとても綺麗で、でもそれを独りで眺めた事なんて、今まであっただろうか――


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