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【跡部】All′s fair in Love&War

第25章 アンコンディショナル・ラブ(中編)




「お前らも、松元が英語を学びたがっているのは知ってただろうが。明日は皆で見送りに行けるよう手配してある、激励にな」
「うおー!流石だな跡部っ」


皆がわっと盛り上がる中、呆然と跡部を見つめる。見送りは、嬉しい。さり気なく今までの努力を認めてくれたのも、とても嬉しい。でも、跡部の反応は、あたしの想像のどれとも似ていなかった。何故黙っていた、と、誰よりも強く問うてくるのだと思い込んでいた。言い訳だって考えていたのに、なのに。


「監督からは、松元の送別も兼ねろって言うからいつもより潤沢な資金を頂戴しているぜ…と、仕切りは俺様じゃなかったな」


そう言って、ヒヨに目配せをする跡部。次期部長のヒヨが立ち上がり、挨拶をすると、途端に宴の雰囲気に変わる。あたしも笑わなきゃ、と笑顔を貼り付け、その空気に飲み込まれていく。



随分とあたしは、自惚れすぎて居たらしい。跡部が引き止めてくれる、なんて。それで溜飲を下げようなんて、自分本位過ぎて、馬鹿げている。

何もかも、自分の思い過ごしだったんだ。あたしは跡部にとってクラスメイトで、部活仲間で、女友達で、きっとそれ以上でも以下でも無いんだ――そこまで考えて、そういえば、あたし自身がそれを望んでいたんだった、と、漸く思い出した。

そうだ、それさえ、その場所さえ守れたらいいんだった。何を高望みしていたんだろう、何を期待していたんだろう。


「それじゃあ、先輩方の…松元先輩の門出に、乾杯」


ヒヨの乾杯の号令とともに、いつの間にか配られていたグラスを手に取り、高く掲げる。一気に飲み干したシャンパンはノンアルコールの癖に、喉にしみて、涙が滲んだ。


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