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【跡部】All′s fair in Love&War

第17章 夏と熱と余韻と原因




もう、いや、という拒否の言葉すら、俺を興奮させる材料に過ぎなかった。胸をもみ、首筋を舐め、鎖骨を噛んだ。耳朶を吸い、やわやわと舌で転がすと、また松元先輩が小さくいや、と声を上げる。


ついこの間まで行われていた合宿。最終日に行った海で、彼女は水着を着ていた。すぐに部長がパーカーを被せてしまったけれど、その胸は想像より豊かで、柔らかそうだった。いつもは隠されている部分の肌は、汚れを知らないように白かった。

初日に彼女が倒れた時。荒い呼吸に喘ぐ喉、白い肌に乱れて落ちた黒髪、半開きになった赤い唇に目眩がしそうだった。部長がそれを俺から、全てから隠すかのように、大事にそっと抱えるのをただ見ていた。


二人のやり取りが、目線が、煩わしくて、羨ましくて堪らない。その間に割って入って、俺だけを見てくれと叫びたい。そんな風に思っていたのに、俺はこんな事をしてしまっているのだ、きっと部長も、他の男達もしたいと思っていることを!


興奮で口元が歪む、もっともっと、とその先を想像する。しかしその時、ドンドンと大きなノックが部室に響き渡った。



「…チッ。ほら、松元先輩、逃げるなら今ですよ」


そう声をかけても、先輩は俺の下でガタガタと震えるまま。そしてノックは鳴り止まない。


「や、やだ、あとべ、」


そう小さな声で呟くと、縛られた手で必死に自分の口元を抑えた。


「やだ、やだ、知られたくない、見られたくないっ」


――この人、馬鹿なんだな。自分の貞操より、部長に知られる事を恐れている。そしてその思考の中に、俺は少しも存在していない。

はぁ、と大きく息をつく。松元先輩の下着に手をかける。彼女がまた涙を流す、これ以上はだめだ、という自分と、馬鹿な彼女に思い知らせたい、思い切り声を出させたいと思う自分と。頭の中でぴぴぴ、と警告めいた音が鳴り響く――



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