【跡部】All′s fair in Love&War
第17章 夏と熱と余韻と原因
ドンドンドンドン!!!
ノックの音と、大音量のアラームに飛び起きる。
「若っ!朝練に遅れるぞ!!」
暫く夢現にぼーっとしていると、兄の声に現実に引き戻された。わかってる、と生返事を返すとやっとノックは収まり。鳴り響いているアラームも、スマホを操作して止める。
そして最悪だ、と膝を抱えた。
「何やってんだ、俺――」
夢の中の彼女を思い返してみる。終始涙を流していた――違う、笑った顔や照れた顔、喜ぶ顔が見たいといつも思っているのに。自分の中に潜んでいるかも知れない狂気に慄く、しかしもう準備をしないと、あの鬼部長は許してくれないのだ。
暫くぎこちなくなってしまいそうだな、しかしそれも松元先輩には何の問題にもならないんだろう、と独りごちて。俺は自室を後にした。