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【文スト】永久に枯れない花の色は

第8章 彼の見えざる手


「中也兄様が貴方に対して何故あんなに怒っていたのか解りかねますし、一応、手出し無用の命を出したので大丈夫かと思いますが……あまり他言しないことをお勧めします」

「……はい」

○○はそれしか云えなかった。


そんなときだ。


「おーい薄雪ー」

「「!」」


突如として聞き慣れた声が響き渡り、2人は思わず其方の方を向いた。
やって来たのも2人。薄雪の兄と、○○にとっては初めて見る男だ。


「治兄様、国木田さん」


薄雪が○○から離れて太宰の元へ歩み寄る。


「お疲れ様薄雪」

「良くやった白沢」

「恐縮です」


2人に労いの言葉を掛けられてペコッと頭を下げる。


「白沢、報告書は明日までだぞ」

「解りました」

「薄雪ー喉乾いた」

「自販機が彼方に在りますから買って参ります。いつものでよろしいですか?」

「うん」

「太宰……貴様は白沢と違って何もしてないだろうが」

「嫌だなー国木田君。今からするとも」

そう云うと2人は○○に視線を移す。


「何時まで座り込んでいるんだい?」

「!」

太宰が手を差し伸べる。
○○は直ぐにその手を取った。

そして太宰は


「――――何故、先刻、今みたいに薄雪の手を取らなかったのかな」



「!?」

鋭い目を向けながら、云った。


「……。」

国木田が小さく息を吐いた。

警察への連絡などの裏方に回っていた国木田は、今し方、太宰と合流したばかりだったのだ。

詰まるところ、太宰は既に公園内に居た。

何時から薄雪と連中のやり取りを観ていたのかは太宰のみが知ることだろう。
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