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【文スト】永久に枯れない花の色は

第8章 彼の見えざる手




「………薄雪。笑顔禁止って云ったよね?」

「え?云われてませんよね?『笑顔が気色悪い』とは云われましたけど」

そんなこと云ったのか。
国木田は太宰に呆れ眼を送る。

然し、ふと思ったのだ。


太宰が女性の笑顔を貶すことなんて云う筈が――……



「だから止めてって云ったんでしょ」

「そんなに怒らなくても……」


薄雪の頬をつねりながら太宰がムスッとしながら云った。
薄雪は眉をハの字にして落ち込んでいる。



嗚呼、そうか。
そういうことか。
ナオミは一足先に気付いていたのか。顔を赤に染めながら2人を観ていた。


「太宰………」

「ん?何?」


先程よりも更に呆れた顔で太宰に話し掛ける国木田。



「男の嫉妬は見苦しいぞ」



「!」

その言葉にピクッと反応する。
反応したのは太宰ではなく薄雪だ。
カアッと一瞬で顔を染めると、その顔を隠す場所を探している素振りを見せる。


そして、一番近くにいた。
元凶である男の背中に隠れてしまったのだ。


「いやー矢っ張り国木田君は良い仕事するねぇ」

「……はぁ」


完全に
策士である太宰の想定通りの行動をたどった様だ。



想い人にしがみつかれて満足そうに笑う太宰に
唯唯、溜め息しかでない国木田であった。



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