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【文スト】永久に枯れない花の色は

第8章 彼の見えざる手


「此れだけの被害者が出ているのに知り合いは一組たりとも居ない。それなのに語る手口は同じで、事の内容も一致させるとなると、かなりの演技力と打ち合わせを要するよ」

まあ、確かに。
国木田は太宰の言葉に納得する。


「では何故、表沙汰になっていないのです?」

「「……。」」


ナオミの質問に少しの沈黙が生じた。
そして、


「被害者の話を聞く限りでは恐らく、裏社会の人間が絡んでいるのだと思われます」

「!」

その沈黙を薄雪が破った。


「『闇』に借金をすれば似たような行動で取り立てに行きますから」

「……。」

苦笑しながら話す薄雪に国木田が頭を抱えた。

「表沙汰になっていないとなると警察に圧力を掛けることが出来る……そうですね。政治家の類いが絡んでいるのかもしれません」


然し、被害者の話だけで此処まで見通せる力は
乱歩が仕事で不在の今では有り難いモノではあった。



此処まで話して薄雪は太宰を見上げる。

「如何いたしますか?」

薄雪につられて国木田達も太宰の方に視線を寄越す。


「ハムラビ法典」



太宰は薄雪に向かって云った。


「はあ?」

その言葉に国木田が意味不明と云わんばかりにすごい形相で声を発する。

が。


「解りました」


直ぐに手配します、と。
その一言で凡てを理解したと云わんばかりに


薄雪はニコッと笑って返事をした。
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