第2章 何もない日常
休日――
待ち合わせの場所に到着すると
「敦さん、谷崎さんも」
「「おはようございます」」
約束していた女性陣とは別に、見知った男性が2人居たのだ。
全員に挨拶を済ませ、歩き始める一行。
「敦さん達も誘われたんですね」
「いや、まあ……」
敦が汗をかきながら谷崎の方を見る。
谷崎の視線も明後日を向いている。
「薄雪。此の2人は荷物持ちだから気にするンじゃあ無いよ」
「あら、そうでしたか」
「そうですわ!今日は女子会ですもの♪楽しみましょ♪」
るんるん気分でショッピングモールへと出掛けていった。
「「疲れた……」」
大量の荷物を近場に降ろし、ベンチにぐったりと座り込む敦と谷崎。
「谷崎さん………女性の力って凄いですね」
「ホント……底なしだよね……」
ハハハハハ……と乾いた笑いを混ぜながら話す2人。
「お疲れ様です」
「「!」」
声と共に冷たい飲み物が目の前に現れた。
「「薄雪さん」」
「好みが分からなかったのでお茶ですが」
ニコッと笑って差し出したのは薄雪だった。
「「有難うございます」」
そう云って直ぐに受け取り、飲む。
「荷物、有難うございます」
「あ、いや…そんな大したこと」
谷崎と敦が慌てて気丈に振る舞う。
それもそのはずだ。
此の荷物の中に薄雪のモノなど殆ど無いのだ。
「こんなに買い物をするのは凄く久しぶりです」
その様子を見てクスクスと笑いながら話しを進める。
「楽しんでくれてるなら良かった」
「ナオミも今日を凄く楽しみにしてたからね」
「そうなんですね」
薄雪と男性陣がそう笑っていると
「薄雪―!」
「あ、はいー。今行きますー」
与謝野に呼ばれる。
「其れではまた行ってきます。暫くの間ゆっくりされて下さい」
「有難う」
「行ってらっしゃいー」
そう云うと薄雪は与謝野の元へ戻っていった。