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【文スト】永久に枯れない花の色は

第7章 戦争の残火


「一寸待て!」

「ん?」
「はい?」


国木田が2人の会話を遮った。


「まるでマフィアの幹部があの場に居たことを太宰が知らなかった様な話振りだな!?」


薄雪がポカンとしながら首を捻る。


「そうですけど何か問題でも?」

「!?」

何を疑問に思っているのか解らない。
薄雪はそんな口振りで話す。


「国木田君」

太宰が名を呼ぶ。
ゆっくりと国木田は其方を向いた。


「私は『丁度良い河に飛び込んだだけ』だよ」

「!」


国木田がこれでもか、と云わんばかりに目を見開いた。

詰まり、だ。


「私は治兄様に何者かに付け狙われていることを告げ、その始末の是非しか訊いてませんから」

「!!」


この計画は凡て薄雪のみによって為されたものと云うことだ。
―――マフィアおろか、太宰さえも……。

そして


「『水』を利用する施設ならば如何様でもなると思ったので」


その戦場さえも利用していたと云うこと――。



簡単そうに云っているが、やったことはそう簡単に行くものでは無い筈だ。



「ご苦労だった―――乱歩、国木田、太宰」


話を一通り聞き終えて。
福沢が自室に戻る際に、3人の名を呼んだ。


4人が部屋を出ていくのを見届けて。



「薄雪、質問があるンだけど」

「はい。何でしょうか」

与謝野が声を掛ける。

「―――病弱ッて云うのは?」

「嘘です」

アッサリと答える。

「今までは今回の様に動くわけにもいかなかったので」

「何故だい?」

「知らなかったのですよ。私は見えない力に護られていることを…つい先日、判ったんです」

薄雪は苦笑した。

「後は観察中だったから。マフィアの本質以外を私は知らない」

「……。」

「僕も訊いて良いですか?」

「何です?」

「芥川が薄雪さんが異能を使うところなんて『今まで一番たりとも観たことが無い』って云ってたんですけど」

「ああ。そうかもしれませんね。あまり異能に頼るのは善くないと思って過ごしてますから」


笑顔で、答えた。
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