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【文スト】永久に枯れない花の色は

第7章 戦争の残火


―――

「………。」

薄雪を囲むようにして立っている探偵社員たち。
探偵社に戻ってから息を着く間もなく、国木田による問い質しが始まったのだ。


「首領次席だと?裏切り者ならばそんな地位剥奪されるんじゃないのか!?」

国木田の問いに薄雪は首を横に振った。


「私は実力で今の地位に就いたわけではありません」

「……。」

太宰だけが、ふらりと自席に着席した。
其れを見届けて、再び口を開く。


「私はポートマフィアの先代首領の実孫なんです」

「「「!?」」」


全員の顔が、驚きの色に染まった。


「両親が所有していなかった『異能』を持って産まれてきてしまった……其れを知った先代は、自分の組織規則に最重要事項として、ある追記をしたのです」




以下の者、首領次席として位置付けることとする。

白沢薄雪

壱 何人たりとも、この者の命令に背くこと無かれ

弐 何人たりとも、この者の生命を脅かすこと無かれ

参 何人たりとも、この者の意に背くこと無かれ

肆 何人たりとも、この者の地位を脅かすこと無かれ

伍 何人たりとも、この事項を抹消することを禁ず




「「………。」」

「私は物心が着いたときからポートマフィア首領と同等の権限を有していたんです」

薄雪は続ける。

「首領交代があった今でも『第伍項』のせいで私の持つ権力も地位も取り上げる事が出来ない上、『第弐項』のせいで始末も出来ない」

「………それでマフィアの幹部でも素直に云うことをきくのか」

「中也兄様と紅葉姉様は、単に私の我儘を訊いてくれている感覚に近いと思います」

苦笑しながら答える。

「でも如何にでもなるよね?それ」

乱歩が駄菓子を頬張りながら口を挟む。

「そうですね。『捨て駒』にでも私の始末を頼めば良いだけの事…」

薄雪が困った顔をした。
薄雪も知らないのだ。
現首領である森がそうしない理由を―――。


「薄雪、喉乾いた」


云い淀んだ時。
更に別の人物が、口を挟んできた。


「……直ぐにお茶を淹れてきますね」


口を挟んできた太宰に一礼してその場を去る薄雪の姿を見送る一同。

そして、離席させた現況の方を一斉にみた。
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