第7章 戦争の残火
「ははは…薄雪さん…本当にポートマフィアの2位なんだね」
「………。」
「芥川?」
隣に居る芥川が険しい顔で居ることに気付く。
「………異能を使うところなど初めて観た」
「は?」
「首領次席などと云うあの女では手に余る権威、自力でなったものではないと思っていたが―――………」
「?……何が云いたい」
敦が首を傾げる。
「解らぬか?戦禍に於いてあの女が異能を使うところなど『今まで一度も見たことがない』のだ」
「!?」
芥川の告げた言葉に、敦がハッとした。
何か異能を使えない理由があるのか。
或いは―――………
「―――地位を有する程の力があるのか……?」
「……。」
「ほらー。行くよー敦君ー」
「え!?」
いつの間にか、離れた距離に居る探偵社の面々。
「待って下さ~い!!」
敦は慌てて皆の後を追った。
シン……
一気に静まり返る場で中也が芥川に云った。
「アイツは自分の意志で次席に居るわけじゃ無ェし、況してや太宰の力でなったわけでも無ェ……寧ろ反対だ」
「!」
聴いていたのか中也が芥川の疑問に答える。
「俺達がマフィアになる前からアイツは『首領次席』として君臨していた。理由は―――………」