第7章 戦争の残火
―――
「ナオミ…ナオミ!!」
映像を観ながら谷崎が徐々に狂いだす。
音声が入らない為、映像だけだが
苦しそうにもがいている姿に変わりは、ない。
「前は良いカメラを使ってたみたいだが壊れてしまったみたいでな。即席で取り付けたものだ。音が拾えなくて悪いねぇ」
「貴様っ……!」
「防水加工もされていないからな。天井にあるカメラの映像が途切れたときが―――最期だ」
フフフ……と男達が笑っている。
「ナオミ……」
谷崎が殺気走る。
敦も、国木田も止めるどころか加担する勢いだ。
が、肝心な太宰は動かない。
動いたところで真面に戦えないことなど百も承知であるが。
「ねぇ。私達に潰し合いをさせて君達に何のメリットがあるの?」
「あん?」
男の注目が太宰に行く。
「組合のリーダーを倒した手前らを俺達が倒せば天下がとれる。こんな島国のお前達には解らんだろうが組合のもつ権力は半端ねーんだよ!」
「ふーん」
「聞いておいてその反応かよ」
「だって楽しかった?」
「全然」
太宰と中也が何時も通りの会話を繰り広げる。
その事さえも苛立ちに変わる探偵社組。
「何を呑気にしてるんだ!下らないこと云ってないで打開策を考えろ!」
「何もしない」
「何だと貴様!」
「痛てててて!落ち着いて国木田君!」
「五月蠅い!こんな状況で落ち着けるか!!」
国木田が怒鳴る。
「………ぁ…」
「映像が……」
「!?」
そんなやり取りをしていた時に、映像が途絶えた。
シーン……
一瞬、男達も静まり返る。
「コロス……」
谷崎が、キレた。
「谷崎君、落ち着き給え」
「黙れ!」
拘束されているのに動こうとする谷崎。共に括られている国木田が動かずに堪える。
国木田は気付いたのだ。
太宰が全く何の根拠もなく大人しくしている訳が、無いと。
谷崎にそっと耳打ちをする。
谷崎も我に返ったのか。直ぐに大人しくなった。
「騒がしいなァ、手前等は」
「中也には負けるよ」
「ンだと、コラ」
自分達の身内が死んだと云うのに。
先程と変わらない様子の連中に呆気をとられる。