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【文スト】永久に枯れない花の色は

第7章 戦争の残火


―――

此処は――………?


朦朧する頭と、ぼやける視界。
敦はそんな状況の中で、ゆっくりと考え始める。


「おい!勝手に動かすんじゃねーよ!」

「煩いなあ。私の腕だから私の自由でしょ」

「今は手前ェだけの意思で動かせる状況じゃねーだろ!」

「中也が私の腕に引っ付いてるんじゃないか」

「ンな訳あるか!誰が好き好んで手前ェなんかと!」

「じゃあ離れてよ」

「此の状況で出来るかっ!」

「腕から切り離してくれたら良いじゃん」

「手前ェの腕を切れ!」


聞き慣れた声で、敦の頭は覚醒した。


「太宰さん!?」

「痛ててててっ!」

バッと起き上がろうとするが、太宰の声がそれを妨げた。

「何だ……これ」

「やあ、敦君。おはよう」

足には足枷。
腰に巻かれた縄で左手は拘束され、
右手は太宰の左腕に引っ付いており、
背中には温かい何かが―――

「ふん。今頃起きるとは随分な神経だな、人虎」

「あ、芥川!?」

背中合わせで。
同じ腰紐によって芥川と拘束されいたのだ。

芥川の右手も太宰の左腕と連結して、縄で拘束されている。


「あの…一体……」

自分達の反対側にはポートマフィアの幹部の一人まで繋がれている。

どうしてこんなことになったのか。


「それがねぇ。河に飛び込んだ後、流れ着いた先に此の帽子置き場が居て」

「ぼ…帽子置き場?」

「誰が帽子置き場だ!此の諸悪の根元が!」

あ、あの人のことか。
敦は何となく察する。


「で、中也が罠に掛かったせいでこんなことに」

「嘘を付くな!手前ェが『絶対に押すな』って書かれた釦を押したからこんなことになってんだろうがあ!!」

「押すなって書いてあったら押したくなるじゃん!」

「もうお前黙れ…!」

中也はガクッと項垂れて話すのを止めた。

敦は今のやり取りで凡てを悟った。


矢張り、悪いのは太宰の方なのだと。
そして、思った。


それにしても何故、2人は一緒に居たのだろうか?


「お2人は…」

「敦君は何となく判るけど芥川君は何で此処に?」


敦の質問に被さるように。
太宰が芥川に質問をする。


「手前ェは今日、仕事だっただろ」

「はい。それを終えて戻る所で樋口との通信が途切れました」

「ふーん」


元上司と、現上司には逆らえないのか。
芥川は素直に理由を話した。
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