第7章 戦争の残火
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「国木田ー……ッて居ないのかィ」
「国木田さんならタイムセールにいきましたよ」
与謝野の疑問に片付けをしながら谷崎が返事する。
「にしても遅すぎやしないかい?」
「あー……太宰さんがまた河に飛び込ンだらしいからその捜索に出てるのかもしれませンね」
「納得したよ。じャあ後で良いか」
そういうと与謝野は医務室へと戻っていった。
それを見送った谷崎も作業の続きに戻る。
ピリリリリリッ
「ン?」
自身の携帯が着信を告げ、再開した手を直ぐに止めた。
「ナオミから?」
先程、買出しに出たばかりだと云うのに。
そんなことを思って直ぐに電話に出た。
「もしもし?如何したの?」
………。
暫くしてピッと電話を切る。
「あれ?谷崎さんも外出ですか?」
「あ、うん。一寸、ナオミが財布を忘れたらしいから届けに行ッてきます」
賢治に問われ、苦笑しながら答えると谷崎は走って探偵社から出ていった。