第6章 争いの日々の中で
「……おい太宰、説明しろ。マフィアの首領と……密会だと?」
「そうだよ。敦君の着想から豪く大事になったものだ。幾ら組合が最大の脅威になったとは云え……」
「待て待て待て!」
説明を求めた筈なのに付いていけずに言葉を遮る。
「何が何やら……第一、何故お前等が密会の手筈を整えている?」
青褪めた国木田に対し
「元マフィアだから」
太宰はニッコリと満面な笑みを浮かべて前職を告げた。
「国木田君以外はみんな知っているよ?今や」
衝撃の事実だったのか国木田から色が抜ける。
動きもなくなった。
………まるで石のようだ。
「国木田君?」
太宰がつんっとつついてみる。
バタァン!
軽い衝撃で倒れ落ちた。
「治兄様の相棒の方は何人も本当に苦労が絶えませんね」
「如何いう意味?」
「そのままの意味ですよ」
はぁ。と溜め息を着く薄雪の前に別の事をしていた谷崎と与謝野、賢治の3人が立ちはだかった。
「?如何かされま――」
「「治兄様ッて(何だい)?」」
国木田が太宰の件だけで衝撃過ぎてツッコミを入れられなかった代わりに、3人が押し寄せてきたのだ。
ああ。と手をぽんっと叩いて
「治兄様にはお世話になったというか、お世話してたというか」
ニコッと笑って言った薄雪の言葉に「そうだったんですかー」と笑って返す賢治と。
ピシィ!
石のごとく固まった谷崎と与謝野だった。