第6章 争いの日々の中で
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「はあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~遣る気出ない」
「朝から壊れた喇叭のような声を出すな太宰」
ソファーでだらーっとしている太宰に声を掛ける国木田。
「私は今ねぇ誰かと対話する気力もないのだよ国……なんとか君」
「不燃ゴミの日に出すぞ 貴様」
「ああ……食事も面倒臭い。呼吸でお腹が膨れたらいいのに……」
そう云うとコンビニの袋からバナナを取り出して、皮のついたままガジガジとかじり始める。
「バナナの皮剥きすら面倒なら餓死してしまえ」
太宰のその仕草にイラッとしている国木田。
「抑も、お前と敦の連携で街は壊滅を免れた!その翌日に何故そうなる?」
太宰を怒鳴り付ける。
「それがねぇ……社長から次の仕事を頼まれちゃって……あー枯木のように唯寝てたい」
「枯木なら可燃ゴミの日か」
寝そべったままに牛乳を飲み、盛大に溢している太宰に呆れつつも何かを思い出したのか。
「そう云えば昨日、社長と敦が豪く話し込んで居たが――その件か?」
話を変えた。
それと同時に、返答した相手も替わる。
「そうだ」
国木田の背後に何時の間にか立っていた人物が答えたのだ。
「太宰」
国木田はその人物…福沢の登場に姿勢を正す。
「マフィアの首領と密会の場を持つ件は進んだか」
「手は打っていますが――」
「マフィアの首領は来ると思うか」
「来るでしょう」
太宰が断言し、
「社長を殺す絶好の好機ですから」
理由をハッキリと告げた。
そのやり取りを目が点になるほどに呆然と見ている国木田。
「構成員同士で延々血を流し合うよりは善い」
目を伏せ、そう告げると福沢は自室へ下がろうとした。
その時だった。
「失礼します」
「「!」」
薄雪が事務所に入って来たのだ。
3人が薄雪に注目し、直ぐに声を掛けたのは太宰だった。
「どう?」
「紅葉姐様に言文をお願いしてきました。後は治兄様の手筈通りに事が進むかと」
「そう。ご苦労様」
ペコッと一礼して去っていこうとした薄雪を太宰が引き留める。
隣に座らせ、何かを告げると薄雪が福沢の方を見た。
「社長、密会は確実に行えます。次の段階にお進み下さい」
「―――そうか」
福沢は自室に戻っていった。