• テキストサイズ

【文スト】永久に枯れない花の色は

第5章 真実


―――

通報したのは良いものの。
第一発見者として、色々訊かれて帰宅する頃には辺りは真っ暗だった。

「!」

誰も居ない筈の自室に灯りが点っている事に気付く薄雪。

薄雪は扉の前で深呼吸をして、

「只今戻りました」

部屋に入っていった。


「おかえり」

本来なら有る筈も無い返事。
酒を飲みながら何かの資料らしいものを見ている太宰だった―――判っていたが。

そんな太宰の横にストンと座る薄雪。

「治兄様、訊きたいことがあります」

「何だい?急に」

「………。」

此処で薄雪は困ったのだ。

話を切り出した迄は善かった。
訊きたいことは山のようにあるのだから。

問題は、その訊きたいことが太宰の勘に障らないかどうか、だ。

元々、色々と詮索される事が嫌いな人だと云うことを薄雪は知っていた。
だから今まで太宰と話すときは言葉を選んで会話していたのだ。

全ては、嫌われたく無いが故に―――。


急に勢いが失われ、黙り込んだ薄雪に太宰が溜め息を着く。

「忙がしいのだけど」

「あ……御免なさい……今度で良いです……」

「……。」

予想通りの行動だったのだろう。

グイッと薄雪の腕を引っ張って自分の懐に閉じ込める。

「治兄様……苦しいです……」

「何が訊きたいの」

「今度で良いって云ってるじゃありませんか」

「薄雪は私に思ったことを云わないね、昔から」

「!」

太宰の言葉にビクッと反応する。

「中り、か。理由は?」

「………云えません」

「そう。じゃあ良いや」

「!?」


トサッ


その場に押し倒される薄雪。
両手を頭上で拘束され、覆い被さる太宰。


「云うまで止めないから」

「!?」


薄雪の衣服の釦に手を掛けて、黒い笑顔を称えながら云った―――。



/ 95ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp