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【文スト】永久に枯れない花の色は

第5章 真実


―――

薄雪は探偵社から帰宅すべく歩いていた。


久し振りに会った紅葉と話が出来て喜んでいたのも束の間―――


「!」

「探偵社の人間だな」


男が2人、薄雪の前に立ちはだかった。

「私は事務員なので、依頼ならば直接社に赴いて頂けますか?」

「事務員か。丁度良い。こいつを拐ってマフィアのせいにして潰し合わせるぞ」

「ああ…!ナイスアイディアだ。マフィアの下層部の連中も数人やったし出世間違いなしだな」


「……組合の方でしたか」


薄雪は溜め息をつく。

却説、如何したものか―――。

そう考えた瞬間だった。


ゴォッ!

「!」


咄嗟にピョンと避ける薄雪。

車が、『飛んできた』のだ。

グシャ!

大きな音と共に、男の1人が車の下敷きになった。


「なっ……!?」

車が飛んできた方向を男が振り向く。薄雪もつられて、同じ方向を見た。

「あ……」

「オイ、コイツ等2人だけか?」

「はい。間違いありません!」

帽子を被った男と、黒尽く目の男が2人。

「クソッ!ポートマフィアッ…!」

「部下が世話になったようだなぁ」


帽子を被った男がニヤリと笑って地面を蹴る。

「ゴフッ……!」

素早い蹴りで車の方に飛ばす。
飛ばされた男が車に衝突したと同時に車が爆発した。

それを確認して、目撃者の如く立っている薄雪の方を向く。



「――次は手前の…」



薄雪の姿を認知した瞬間―――男がピタッと止まった。


「中也兄様……」

薄雪は今にも殺そうと歩み寄ってきた男の名を、呼んだ。

「薄雪……か?」

中也と呼んだ男の問いに、コクッと頷く薄雪。


ジャキッ

「!」

中也の隣に居た黒尽く目の男達が拳銃を構える。

その行動に舌打ちする中也。

「止めろ。アイツに手を出すんじゃねェよ」

「しかし、目撃者を生かしておくわけには!」

「首領の命令だ。死にたきゃ続けろ」

「「!」」

男達が大人しく銃を下ろした。
次いで、先に帰るように指示を出したようで男達は素直に従い、去っていった。

「道理で避けるのが上手いわけだ」

「今まで散々、投げつけられてますから」


ふふっと笑う薄雪の頭をワシャワシャと乱暴に撫でる。
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