第5章 真実
お茶を注いで、茶菓子を並べて。
2人並んで話をしている。
「愉しいかえ?外の世界は」
「愉しいです。知らないことも沢山あって」
「ふふっ。それなら結構」
笑顔で答える紅葉に薄雪は顔を曇らせる。
「あの……姐様…」
「なんじゃ?」
「その……お咎めとか……無いんですか?」
「ふむ。薄雪はそれを心配しておるのかえ?」
コクッと頷く。
「幼い頃から外の世界に興味があったからのぅ。何時かはこうなることは判っておった」
「……。」
「『外の世界に家出します。捜さないで下さい』と置き手紙を置いていくところ辺り、流石薄雪じゃと感心したものじゃ」
「マフィアの抜け方なんて訊いたことなかったものですから……御免なさい」
それはそうだ。
マフィアを抜ける―――
普通ならば秘密裏に行うものだ。待ち受ける先は死しか、ない。
「何て唆されたのかえ?」
「え?」
「太宰の入れ知恵じゃろ?」
「治兄様に唆されたワケではないのです。唯……『臆病者』と罵られたから」
「……ほぉ」
「手紙を森医師の机に置く、前日―――」
薄雪はマフィアを抜け出した時の事を話し出した―――。