第4章 争いの幕開け
翌日―――
「太宰が行方不明ぃ?」
うんざりした顔をして、敦の言葉に反応している国木田。
「電話も繋がりませんし下宿にも帰ってないようで」
「また川だろ」
「また土中では?」
「また拘置所でしょ」
本気で心配している敦をよそに他の者達の反応は薄い。
「しかし、先日の一件もありますし……真逆マフィアに暗殺されたとか……」
「阿呆か。あの男の危機察知能力と生命力は悪魔の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでない奴だぞ」
心配そうに云う敦の言葉を一蹴する国木田。
そんなときだ。
「ボクが調べておくよ。」
国木田と敦のやり取りの間に、別の声が入る。
その方向を見やる2人。
「谷崎さん無事でしたか!」
「与謝野先生の治療の賜物だな。」
えへへと言わんばかり頭をかく谷崎。
先日、マフィアとの衝突で大怪我を負っていたのだ。
「谷崎。何度解体された?」
国木田の質問に一気に顔を青く染める谷崎。
「………四回。」
項垂れながら答える谷崎に、あー……とだけ反応する国木田、乱歩、賢治の3人。
何も解らずに疑問符を浮かべている敦。
「探偵社で怪我だけは絶ッ対にしちゃ駄目だよ。」
「?」
ガタガタ震えながらアドバイスをする谷崎に、矢張り疑問符を浮かべていた。