第4章 争いの幕開け
「ふぅ」
茶の間に戻って食事を再開する薄雪。
「マフィアに拐かされた、か。その発想はありませんでした」
ご飯を口に運びながらポツリと呟く。
太宰のことだから
自殺に失敗して、それからの帰宅できない状態にあるか。
若しくは、自分好みの女性を口説いて、その親睦を更に深めようとしているか。
この2択の内のどちらか、だと薄雪は思っていた。
「自由でいるのが好きな人だから、約束なんて『気が向いた時だけ効力を発揮するモノ』と捉えてるのかと思ってましたが…」
敦の云うようにマフィアに拐われていたならば――?
身の危険……。
………命の心配?
・・・・・・・。
「ないですね。女性問題よりも心配出来ません」
薄雪は食事に集中することにした――。