第1章 しづ心なく(土方side)
そんなことを考えながら見回りをしていたからだろうか。
暮れなずむかぶき町を歩きながら、もう少しで総悟のバズーカに吹っ飛ばされるところだった。
「総悟ッ!てめ、何してくれてんだ!」
「いや、その路地に攘夷浪士らしき男が入っていったんで。でも、いつもの土方さんなら余裕でかわすのに、間一髪って感じでしたね。調子悪そうですけど、大丈夫ですかィ」
「何ソレ、心配してくれてんの?つーかバズーカで俺の健康状態を測るな!」
「土方さんが死んでくれたらその手間も省けますぜィ」
頼むから今日だけはおとなしくしとけ、と言いかけて、俺は口をつぐんだ。
俺が何とか早く仕事を終わらせようとしていることをこいつに悟られたら、終わりだ。
「とりあえず、今のバズーカ1発分の報告書持って来い」
「へーい」
屯所に戻ったら戻ったで、山崎がこっそりミントンしてやがる。
「おい、山崎!」
「あ、副長!お帰りなさい、思ったよりも早かったですね」
ラケットを背中に隠しても無駄だっていうのがわかってないんだろうか、こいつは。
「てめェに合わせて動いてねェんだよ!」
「は、はい、すみません」
「俺はこれからこの間の報告書チェックするから、お前も手伝え」
「ええええーーー」
「何だと?」
俺が鋭く視線を走らせると、
「いえ、手伝わせていただきます……」
しおしおとついてきた。
だからラケットは持ってくるな。