• テキストサイズ

【銀魂/土方夢】恋すてふ

第1章 しづ心なく(土方side)


ある水曜日、カウンターに彼女の姿がなく、空いている席に座ろうとした時、後ろから声をかけられた。
「土方さん」
彼女がテーブル席に座っていた。
「親父さんが、2人でテーブル席に座ればって言ってくれたの」
「……!!」
ここの親父さんは俺のために特別メニューを作ってくれるような察しのいい人だから、しょっちゅう隣に座っている俺たちに気を遣ってくれたのだろう。
だけど、こんな風に気を遣われると……。
「土方さん?」
「あ、ああ……」
曖昧な返事をしながら、彼女の前に腰を下ろす。
正直なところ、俺の顔は羞恥で赤く染まっていたのではないだろうか。
テーブル席だと、彼女の顔を正面から眺めることになってしまうから、まともに顔を上げることができない。
「たまには煮魚の定食もいいかなあ」
彼女はメニューを真剣に眺めながらつぶやく。
そうこうしているうちに、俺の前にはマヨネーズ丼が置かれた。
「……正面から見ると、すごい迫力ね」
「食べてみるか?」
彼女は目を丸くしての顔を見た。
え?どうした?俺の顔に何かついてる?それとも、そんなにマヨネーズ丼が脅威なのか?
「じゃ、一口だけ」
彼女はおずおず、といった感じで俺の丼に匙を伸ばし、マヨネーズがなみなみとかかっている白米を口に入れた。
「……」
「……」
「……うまいだろ?」
「……ごめんなさい、私は普通の定食がいいわ」
「……そうか」
さすがにマヨネーズ丼の良さは伝わらなかったようだ。
俺は少し寂しい気持ちになりながら、それを振り切るようにマヨネーズ丼をかっこんだ。
/ 24ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp