第1章 しづ心なく(土方side)
で、その次の水曜日も彼女の顔がなんだか見たくなって、定食屋に足を運んだ。
さらに次の水曜も、その次も。
一人の女に会いたいがために、どこかに通うなんて経験は、今までしたことがない。
土日に休みたがる隊士が多いから、水曜日に非番を取りやすいというシフト的な事情もあった。
もちろん、非番でなくても、水曜日の昼にかぶき町の見回りに出る俺を止めるような隊士はいないから、水曜日ごとに定食屋に寄ることはさほど難しいことではない。
比較的大きな事件がない時期だったことも幸いした。
だから、ほとんど水曜日ごとに彼女と顔を合わせていた。
彼女が先に来ていて、隣が空いていれば、俺が隣に座る。
俺が先に来ている場合は、大抵まだ比較的席が空いている時間帯だから、彼女が俺の隣に座る。
あいにく席が空いてないときでも、彼女が勘定を払ったあと俺のところに来てくれて、一言交わしてから帰ることもあった。
とりとめもない会話ばかりだったけれど、彼女の話を聞くのは楽しかった。