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【銀魂/銀時夢】忍ぶれど

第2章 恋ぞつもりて(銀時side)


週が明けても、心ここにあらずの俺は、相変わらず客の来ない万事屋で無為な時間を過ごしていた。

「銀さん、銀さんってば!」
「だめアル。魂が完全に抜けてるね」
「『それでも銀魂ついてんのかァァ!』って言ってた人が、魂抜けちゃってるよ」
「主人公失格アル」
「昨日も今日もこんな感じでしょ?体調が悪いとかじゃないですよね?」
「まさか、銀ちゃんに限ってそんなことないアル」
「でも、銀さんが変なウィルスに感染してるとか、嫌だよ」
「まさか」
「んあ?」
ふと気がつくと、いたいけな瞳四つが俺をじっと見つめていた。
「何だ、どうした」
「どうしたじゃないですよ。銀さんがあまりにもボーッとしてるから、心配になっちゃったじゃないですか」
「悪いモンでも食べたアルか?」
「いや、別に、そういうんじゃねえよ。心配すんな」
「それじゃあ、今度はお金の心配をさせてもらいます」
「は?」
「もうお米がないんですけど」
「日曜日、銀ちゃん仕事あるって出かけていったアル」
「その仕事の分のお給料が入ってるんじゃないですか」
「まさか、すぐにパチンコに使ったアルか?」
あ、やべ。こいつらに仕事だって言ってたの、忘れてた。
仕事どころか、うまいパンケーキ食って金使っちゃったよ。
しかも史緒ちゃんにいいとこ見せようと、見栄張っておごっちゃったよ。
「そ、そうじゃねえけど、日払いじゃない仕事だったから、金が入るのは、来月じゃないかなっ」
「えー!」
不満そうな子供たちの声。
財布をのぞきこんでも、大した額は入ってないのだった。
このままじゃ、水曜日にごとの定食屋にも行けなくなる。
そしたら史緒ちゃんに会えないわけで。
だめだなこのスパイラル。
「わかったわかった。おい、お前らこれで米買ってこい」
「卵かけごはんにする卵もいいアルか?」
「そうだな。でも、酢昆布は今回はなしだからな」
ガブッ。
「わかったわかった。定春のドッグフードも買ってきていいから。だから銀さんを食いモンにしないで」
頭から血を流しながら、俺は答えた。

2人と1匹が出かけてしまったあと、俺は再び机につっぷした。
あー、やっぱり魂が抜けている。
女のことを考えてこんな風になるなんて、俺も意外と可愛いとこあんじゃん?
って、誰も誉めてくれねえっつうの……。
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