• テキストサイズ

ただの女、男二人【進撃の巨人】

第10章 【最終章】約束








「前方、奇行種一体接近!!」





調査兵団の部隊は平地を馬で駆けていた。
一昼夜に渡る壁外調査を終え、トロスト区の外門へと向かう途中の出来事。
何体もの巨人に遭遇し、兵士たちは疲労困憊。
けれども迫り来る奇行種と戦闘しなくては、帰還することはできない。


「くっ……!俺たちが行きます!!」


巨人に一番近い距離を走行していた二人の若い兵士が、手綱を強く握った。
馬の速度を上げ、一人が巨人の気を引くために間合いギリギリへと近づく。
右往左往していた巨人はその兵士の姿を捉え、獲物を掴むために腕を伸ばした。



「今だ!殺れ!!」


囮になった兵士が叫ぶ。
もう一人は巨人の背中にアンカーを打ち付け、うなじ目掛けて立体機動で飛び上がった。
あとは打ち付けたアンカーを巻き取り、目前のうなじを削ぐだけ。
ガスを吹かせて勢いをつける。
アンカーを抜き、両手の刃を振り上げたその時。





「…っ!?」




回収しきれずにいたワイヤーを、巨人に握り込まれてしまった。

至近距離に映るのは、大きな濁った瞳。



「ああっ……!!」



ワイヤーごと体が引き寄せられ、兵士の体は巨人の手の中に落ちていく。
ギリギリと音を立てる体幹。
喰われる前に圧死してしまいそうだ。



「うわあぁああっ…!!助けてくれえぇええ!!」



大きく開かれた口からは涎が滴り落ちた。
岩のように大きな歯と赤黒い舌に呑まれそうになり、兵士の顔が恐怖に歪む。




しかし最期を覚悟したものの、巨人との距離は一向に縮まりはしない。
何が起きたのかと、身動きも取れぬまま巨人を凝視していると、その巨体は膝から崩れ落ちていく。


/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp