第8章 夢
夕方。リヴァイはビアンカの部屋を訪れた。
数日前と同じように室内は薄暗く、ビアンカはベッドに臥せていた。
「まだ体調悪いのか?」
「………うん」
そこへ近づき、頭まで被った布団を指先で引き下げビアンカの顔を確かめる。
やはり、血色が悪い。
こうも不調が長引いては、リヴァイも不審に思って当然。
「医者に診せた方がいいんじゃないか?」
「………うん」
「明日、行くか?」
「……………うん」
「俺も一緒に…」
「一人で大丈夫よ」
彼の言葉に被せ、ビアンカは即答する。
眉間に皺を寄せたリヴァイを見て、青白い頬がゆるりと綻んだ。
「子どもじゃないんだから。先生に笑われちゃうわ」
「…わかった。でも、今晩はここに泊まる。いいな?」
「うん…。ねえ、リヴァイ。温かいスープ飲みたいな。作ってくれる?」
正直、食欲はない。
けれどもし体調不良の原因がビアンカの思い当たるものだとしたら、少しでも食べなくては。
ビアンカはリヴァイの作る優しい味わいのスープが好きだった。
沢山は無理でも、それならば口にできそうだ。
ここの所まともに食事を取っていないビアンカのその言葉に、リヴァイは少しだけ安堵する。
ベッドに横たわるビアンカを背にして、早速料理に取り掛かった。