• テキストサイズ

ただの女、男二人【進撃の巨人】

第6章 二人





「やっぱり。何年ぶりだろうな?」



「……」



即座に視線を逸らした。
ドクドクと鼓動が早くなり、息が苦しくなっていく。


「人違いじゃ、ありませんか……?」


恐々そう呟けば、乾いた笑いと共に男は顔を近づけてくる。


「名前に反応したくせに、何言ってんだ?
…ああ。触れて欲しくない過去ってヤツね」


嫌だ……


「何?もしかして足洗ったの?」


嫌だ嫌だ……


「そうなんだ。そりゃ、忘れたい過去だよな」


やめて……


「おい、少し話そうぜ?今何してんの?」


あんたなんかと話すことない……!


「冷てぇなあ。初めての男と再会したのに顔も見てくんねぇのかよ?」



「……めて……!」



「散々股開いて喘いでただろ?金と引き換えにしてよぉ」



「やめてっ…!!」



聞くに耐えない言葉を悲鳴のような声で遮った。
恐る恐るその男を見上げてみる。
ビアンカを凝視してくるのは、気味の悪い笑顔。



「久しぶり。ビアンカ」



「何で声掛けたの?私はもう、…っ!?」




睨んだ視界の片隅。
よく知る黒髪が覗く。
その人物は、眉間に深く皺を刻んでこちらを見つめていた。



「……リ…ヴァイ」



ビアンカの双眼の先が自分に向いていないことに気づき、男は振り返る。
その先にいる少年を捉えると、また片方の口の端を上げ薄ら笑いを浮かべた。


「何?お前の男?ハハッ、お前のしてきたこと、知ってんの?コイツ」


神妙な顔のビアンカとリヴァイとの間で、男はさも面白そうに笑う。


ビアンカは堪らずその場を駆け出した。



/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp