• テキストサイズ

ただの女、男二人【進撃の巨人】

第6章 二人




「酔いを覚ましてくる」


そう言って出て行ったケニーが帰ってくることはなかった。


ひと月たっても、ふた月たっても。
一年たっても、二年たっても――――。



理由などわからない。
あの夜妙な思い出話をしたのは、リヴァイの元から去るつもりでいたからなのだと、後になって腑に落ちた。


大事なものは次々去ってしまう。

クシェルも、ケニーも。

それならば、ビアンカだけは決して離したりしない。




ビアンカだけは、ずっとそばに―――。















「ビアンカ。出掛けるのか?」

「うん、ちょうど夕食の買い物に行くところだったの。時間ある?」

「ああ。付き合う」


その日リヴァイがビアンカの家を訪れると、市場へ行くところに出くわした。


「リヴァイが一緒に来てくれるなら、少し遠くの市場まで行ってもいい?」

「いいけど…」

「今日は寒いからシチューにするね。好きでしょ?」

「ああ」

ケニーがいなくなってからというもの、二人で夕食を食べるのはもう日課になっていた。
献立にはリヴァイの好みを取り入れることもしばしば。


二人並んで歩き始めた途端、冬の訪れを感じさせる風がビアンカの体を震わせる。

「寒い…。やっぱり上着取ってくる。待ってて?」

少し歩いただけでこれでは、風邪を引いてしまいそうだ。
足早に家へと戻り、上着を手に取る。
少しでも暖を取れるようきっちりそれを羽織ると、リヴァイの元へ戻るべく、再び人の行き交う往来へと向かった。


/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp